ある国家とその市民の関係についての契約を指す用語. 黙契、立法・誓約.

政治権力の正統性を、支配者の血統・神授・自然的優越ではなく、統治される者たちの同意に求める理論群。近代政治哲学の中核をなす。「契約」は歴史的な出来事の主張ではなく、正統性を検証するための思考装置として使われる。

共通要素

  1. 自然状態を想定する — 政治権力が存在しない状態を描く
  2. その状態の欠陥を指摘する(不安全、不便、不平等、など)
  3. その欠陥を解消するために、人々が合意して権力を作る
  4. 何のために作ったかから、権力の限界と正統性の条件を導く

構成要素

自由契約

📐附従契約

adhesive contract.

片方が極端に有利で、片方が極端に不利な契約. 立場に従属した契約. 互いの選択肢が相対的に違う.

🔖構造的貧困

👨トマス・ホッブス(1588-1679)

📚リヴァイアサン - トマス・ホッブス(1651)

300年続く呪い.

機械論的な人間観

感覚も思考も、外部の物体が引き起こす体内運動にすぎない。ここから欲求と嫌悪が導かれ、「善」とは各人が欲するものにつけるラベルであって、客観的な最高善は存在しない.

人間を動かす中心的な動機は死の恐怖、とりわけ暴力的な死への恐怖。これが唯一、万人に共通する強い情念であり、政治秩序の土台に据えられる。

🌳自然状態

自然状態(state of nature). 人間の自然状態. 🤖損得マシーン

自然法(laws of nature)

理性が発見する処世の格率。義務というより「こうすれば生き延びられる」という定理に近い

  • 第一: 平和を求めよ、得られないなら戦争の手段を用いてよい
  • 第二: 平和のため、他者も同様にするなら、万物への権利を放棄せよ
  • 第三: 結んだ契約は履行せよ(ここから正義の定義が出る)

自然権(right of nature):

自己保存のために何でもする自由。自然状態ではあらゆるものへの権利を各人が持つ——だからこそ誰も何も確保できない

ブッダとの比較

  • 仏教: 苦の原因が渇愛という内的条件にある以上、介入点も内側。戒定慧の訓練で条件そのものを変える(道諦)
  • ホッブズ: 欲求は自然の定数であって変更不能。だから介入点は外側しかない。剣を持つ主権者を作り、行動の帰結を変えることで人を平和的に振る舞わせる

もう一つの違いは、ホッブズが死の恐怖を土台として使う点です。仏教では死の恐怖は建材ではなく、見抜かれるべき対象(念死は執着を緩めるための観法であって、社会を建てる基礎ではない)。

👨ジョン・ロック

📚統治二論 - ロック(1689年)

名誉革命直後に書かれた自由主義政治学の原点.

個人の権利を守る政府」→ 自由主義・リベラリズムへ

  • 人間は生まれながらに「生命・自由・財産」の自然権を持つ
  • 政府はその権利を守るために人々が契約して作るもの(社会契約)
  • 政府が権利を侵害したら人民は抵抗・革命してよい

アメリカ独立宣言(1776年)に直接影響

📜タブラ・ラサ

ジョン・ロックの教育論. 『タブラ・ラサ』とは, 磨いた板. いいかれば白紙のキャンバス.

子供ははじめは白紙のキャンバスのような心をもっていて, 観点は経験によって獲得される.

👨ジャン=ジャック・ルソー(1712-1779)

18世紀にジュネーヴ共和国に生まれ、主にフランスで活躍した思想家.

ピティエ

個人が、自分のことだけを考えるのではなく、みんなのことを考える感情的能力. 哀れは悪い訳.

各人が各人のことを想像でき、気にかけることができることが民主制の条件. したがってせいぜい2万人程度.

📚社会契約論 - ジャン=ジャック・ルソー(1762)

社会契約を想定し、人民主権論を展開した.

「人民全体の意志(一般意志)への服従こそが真の自由」→ 民主主義・共和主義へ

📐社会契約

Issue

「人は自由に生まれた。しかしいたるところで鎖につながれている。なぜこの変化が起きたのか、そしてどうすればその鎖が正当なものになりうるのか」

国家の支配(=鎖)は避けられない、ならばどういう条件なら服従しても自由を失わないか

Answer

各人が、自分の持つすべての権利とともに、自分自身を共同体全体へ完全に譲り渡す

全体意志

個々人の私的な欲求の寄せ集め、単なる多数決の合計

一般意志

共同体全体の共通利益を目指す意志

📚人間不平等起源論 - ジャン=ジャック・ルソー(1755)

自然に帰れ. とは本人は書いてない.

📚エミール - ジャン=ジャック・ルソー

近代教育論.

中江兆民

日本のルソー. 1882年に民約訳解

ロールズ

社会契約説は19世紀に功利主義に押されて衰退したが、ロールズが復活させた。

  • 原初状態(original position): 自然状態の現代版。当事者は合理的だが、自分の階級・才能・信条・世代を知らない
  • 無知のヴェール(veil of ignorance): これにより選択が公平になる
  • そこから選ばれる正義の二原理: ①平等な基本的自由、②機会の公正な平等 + 格差原理(最も不遇な人の便益を最大化する不平等のみ許容)
  • 契約の対象が「政府の設立」から「社会の基本構造を規律する正義の原理」へ移った点が転換

『正義論』1971

批判

🚩アナキズム

歴史

思想としての社会契約

仏教との比較

自然状態は変えられないので社会を変えよう.

🔗References

🎓政治哲学