ある国家とその市民の関係についての契約を指す用語. 黙契、立法・誓約.
政治権力の正統性を、支配者の血統・神授・自然的優越ではなく、統治される者たちの同意に求める理論群。近代政治哲学の中核をなす。「契約」は歴史的な出来事の主張ではなく、正統性を検証するための思考装置として使われる。
共通要素
- 自然状態を想定する — 政治権力が存在しない状態を描く
- その状態の欠陥を指摘する(不安全、不便、不平等、など)
- その欠陥を解消するために、人々が合意して権力を作る
- 何のために作ったかから、権力の限界と正統性の条件を導く
構成要素
自由契約
📐附従契約
adhesive contract.
片方が極端に有利で、片方が極端に不利な契約. 立場に従属した契約. 互いの選択肢が相対的に違う.
👨トマス・ホッブス(1588-1679)
📚リヴァイアサン - トマス・ホッブス(1651)
300年続く呪い.
- リヴァイアサンは📚ヨブ記 - 旧約聖書にでてくる海の魔物.
- 半分は聖書研究
機械論的な人間観
感覚も思考も、外部の物体が引き起こす体内運動にすぎない。ここから欲求と嫌悪が導かれ、「善」とは各人が欲するものにつけるラベルであって、客観的な最高善は存在しない.
人間を動かす中心的な動機は死の恐怖、とりわけ暴力的な死への恐怖。これが唯一、万人に共通する強い情念であり、政治秩序の土台に据えられる。
🌳自然状態
自然状態(state of nature). 人間の自然状態. 🤖損得マシーン
- 💭マンモスを仕留めなければ死ぬというご先祖さまの遺言を思い出し令和の私も成果を出す(24/12/17)
- 💭生成AI時代は万人の万人に対する闘争、使いこなさなければ殺られるという不安神経症(25/02/13)
自然法(laws of nature)
理性が発見する処世の格率。義務というより「こうすれば生き延びられる」という定理に近い
- 第一: 平和を求めよ、得られないなら戦争の手段を用いてよい
- 第二: 平和のため、他者も同様にするなら、万物への権利を放棄せよ
- 第三: 結んだ契約は履行せよ(ここから正義の定義が出る)
自然権(right of nature):
自己保存のために何でもする自由。自然状態ではあらゆるものへの権利を各人が持つ——だからこそ誰も何も確保できない
ブッダとの比較
- 仏教: 苦の原因が渇愛という内的条件にある以上、介入点も内側。戒定慧の訓練で条件そのものを変える(道諦)
- ホッブズ: 欲求は自然の定数であって変更不能。だから介入点は外側しかない。剣を持つ主権者を作り、行動の帰結を変えることで人を平和的に振る舞わせる
もう一つの違いは、ホッブズが死の恐怖を土台として使う点です。仏教では死の恐怖は建材ではなく、見抜かれるべき対象(念死は執着を緩めるための観法であって、社会を建てる基礎ではない)。
👨ジョン・ロック
📚統治二論 - ロック(1689年)
名誉革命直後に書かれた自由主義政治学の原点.
個人の権利を守る政府」→ 自由主義・リベラリズムへ
- 人間は生まれながらに「生命・自由・財産」の自然権を持つ
- 政府はその権利を守るために人々が契約して作るもの(社会契約)
- 政府が権利を侵害したら人民は抵抗・革命してよい
アメリカ独立宣言(1776年)に直接影響
📜タブラ・ラサ
ジョン・ロックの教育論. 『タブラ・ラサ』とは, 磨いた板. いいかれば白紙のキャンバス.
子供ははじめは白紙のキャンバスのような心をもっていて, 観点は経験によって獲得される.
👨ジャン=ジャック・ルソー(1712-1779)
18世紀にジュネーヴ共和国に生まれ、主にフランスで活躍した思想家.
ピティエ
個人が、自分のことだけを考えるのではなく、みんなのことを考える感情的能力. 哀れは悪い訳.
各人が各人のことを想像でき、気にかけることができることが民主制の条件. したがってせいぜい2万人程度.
📚社会契約論 - ジャン=ジャック・ルソー(1762)
社会契約を想定し、人民主権論を展開した.
「人民全体の意志(一般意志)への服従こそが真の自由」→ 民主主義・共和主義へ
Issue
「人は自由に生まれた。しかしいたるところで鎖につながれている。なぜこの変化が起きたのか、そしてどうすればその鎖が正当なものになりうるのか」
国家の支配(=鎖)は避けられない、ならばどういう条件なら服従しても自由を失わないか
Answer
各人が、自分の持つすべての権利とともに、自分自身を共同体全体へ完全に譲り渡す
全体意志
個々人の私的な欲求の寄せ集め、単なる多数決の合計
一般意志
共同体全体の共通利益を目指す意志
📚人間不平等起源論 - ジャン=ジャック・ルソー(1755)
自然に帰れ. とは本人は書いてない.
📚エミール - ジャン=ジャック・ルソー
近代教育論.
中江兆民
日本のルソー. 1882年に民約訳解
ロールズ
社会契約説は19世紀に功利主義に押されて衰退したが、ロールズが復活させた。
- 原初状態(original position): 自然状態の現代版。当事者は合理的だが、自分の階級・才能・信条・世代を知らない
- 無知のヴェール(veil of ignorance): これにより選択が公平になる
- そこから選ばれる正義の二原理: ①平等な基本的自由、②機会の公正な平等 + 格差原理(最も不遇な人の便益を最大化する不平等のみ許容)
- 契約の対象が「政府の設立」から「社会の基本構造を規律する正義の原理」へ移った点が転換
『正義論』1971
批判
歴史
思想としての社会契約
仏教との比較
自然状態は変えられないので社会を変えよう.