Learned helplessness.
学習性無力感とは
長期にわたってストレスの回避困難な環境に置かれた人や動物は, その状況から逃れようとする努力すら行わなくなるという現象.
自分の行動が結果を伴わないことを何度も経験していくうちに, やがて何をしても無意味だと思うようになっていき, たとえ結果を変えられるような場面でも自分から行動を起こさない状態.
- 👨マーティン・セリグマンが提唱した心理学理論.
- 🐕無力なイヌ. 犬の電気ショック実験が有名.
🔦人間のデフォルトは無力であり、学習されるのは「制御できる」という認識
2016年update.
デフォルトは無力(受動性)であり、学習されるのは「制御できる」という認識のほうだ、という方向に修正.
敗北反応
学習性無力感の症状. 学習性無力感は現象、敗北反応は状態.
- その圧倒的に不愉快なストレスが加えられる状況から、自ら積極的に抜け出そうとする努力をしなくなる
- 無駄な努力と断じて、自発的行動を起こさない
- ストレスが加えられる状況、又ストレッサーに対して何も出来ない、何も功を奏しない、苦痛、ストレス、ストレッサーから逃れられないという状況の中で、情緒的に混乱をきたす
💪随伴性(contingency)
contingency. 自分の行動が結果を伴うかどうか.
- いわゆるレバー. 自分の手が届くか.
- 学習性無力感の作動変数は環境ではなく随伴性.
社会的随伴性
自分の力で社会が変わる感覚. 制度・組織は反応が遅く、随伴性が観測しにくい.
非随伴性
行動と結果の間に直接的な関係がない状態.
学習性無力感の長期化
心理変化
- 💛有能感(competence)の喪失.
- 😎ツァイガルニク効果によるうつの反芻.
🖤アクション・クライシス
「続けるか降りるか」の内的葛藤が慢性化する状態。まだ諦めてはいないのに目標のコストと利益を繰り返し再計算し始める
- 目標に対する両価性(ambivalence)の上昇
- 反芻の増加
- コルチゾール分泌の上昇など生理的ストレス指標の変化
- 意思決定の先延ばし
長期化の原因
降りたほうが合理的だが、非合理に縛り付けられる.
- 😎サンクコスト
- アイデンティティの統合。目標が自己概念に組み込まれていると、諦めることが自己否定と同義になる。「〜を目指している人」という自己記述しか持っていないと、降りたあとの自分の記述が存在しない。
- 公表と社会的コミットメント。周囲に宣言してある場合、撤回コストが加算される。
- 代替目標の不在。再従事先がない場合、離脱は純粋な喪失になるので合理的に選べない。
🐕無力なイヌ
セリグマンの心理学実験.
パプロフの犬、S-R理論では説明できない奇妙な現象をセリグマンは発見、そこから10年くらいこの現象を研究.
- 🐕パブロフの犬
- 🔖自由の効力を科学的に解明したとして話題になった.
- 当初、先輩の実験をみたとき、無力状態を科学的に理解する研究がないことに気づいた. 無力が学習でみにつくものなら、学習で克服できることを証明しようと思った.
- 無力感は実験室で作り出せることを発見した、じゃあこれを直すにはどうすればいいの?
治療
反応しても無駄であるという信念を変えること.
うつと学習性無力感
📝抑うつ状態に似た症状.
🐕学習性ストレス反応
🐕学習された闘争反応
🐕学習された逃走反応
🤔学習性無力感は闘争逃走反応の凍りつき反応
ストレッサーがないのに凍りつく反応といえる.
すると、ストレッサーがないのに攻撃性や不安を感じたるする反応は?
😄学習性楽観主義
Learned Optimism. 👨マーティン・セリグマン.
- 反応しても無駄であるという信念を変える. 📝認知行動療法
- 💊イリシン: 運動ホルモンのマウスへの投与で学習性無力感が低減.
- 📝コミットメント(ACT)、決めたことをやる.
📜無力感が学習できるならば希望も学習できる - マーティン・セリグマン
悲観主義や無力感も環境・状況により後天的に学習するのであれば、楽観主義や希望も学ぶことはできるのではないか.
実験室では犬に無力感を学習させるメソッドを確立した. それならば楽観主義も学習可能では?それを科学的に証明してやる!という若きセリグマンの野望.
🔬「自分でなんとかできる」という感覚が学習性無力感を逆転させ勇敢にさせる
学習性無力感のその後の実験.
電気ショックを浴びせつづけられたラッドの中には、学習性無力感に落ちいらずに、むしろ自信をつけ、勇敢になるケースがある. それは、制御可能な電気ショックを体験して学習することで、恐怖に対する向き合い方が変わる.
「自分でなんとかできる」という感覚.
ref. 📚スタンフォード式 人生を変える運動の科学 - ケリー・マクゴニガル, p176
📚Learned Optimism オプティミストはなぜ成功するか - マーティン・セリグマンによるとこれで業界激震したらしい.
私たちは学習理論の大前提――学習は反応がほうびか罰をもたらすときにのみ起こる――に挑戦し、それが間違っていることを証明したのだ。
世界中の学習理論学者たちに挑戦状がたたきつけられた。大学院の青二才二人が、行動主義の偉大なる創始者B・F・スキナーとその弟子たちに向かって、彼らのもっとも基本的な前提が間違っていると宣言したことになる。
- 💭生活で出会うイライラにはモンスターに魔法を打ち込むイメージでサティで対処する(24/11/05), 呼吸で何とかなるという感覚が欲しい.
- 💭うつで打ちのめされても呼吸のハンドルを握り締めて前に進む(24/12/17)
- 🔦ストレス対策にもっとも必要なのはコントロール感 - キャリー・クーパー
📚Learned Optimism オプティミストはなぜ成功するか - マーティン・セリグマン
ポジティブ心理学誕生前のセリグマンのキャリアや考え方も書いてある.
Topics
仏教的な捨 vs 病理的な無力感
仏教的な解釈は、無力感に対する事後的な正当化として機能しやすい非対称性
- 行動可能性が保たれているか
- 苦が実際に減っているか
- 他者への関わりが増えているか減っているか. 四無量心の欠如.
💭人生で一番閉塞的な夏になる、脱出不可能、もうどうしようもない(26/08/01)
由来が洞察か、失敗の累積か
- 仏教の離貪は、無常・苦・無我を見た結果として生じる。順序は「見る → 離れる」
- 学習性無力感は、随伴性の欠如を経験した結果として生じる。順序は「報われない → 動かなくなる」